こちらは1960年前後あたりに中村書店より出された貸本漫画、大城のぼる先生のお弟子さん、オオトモヨシヤス先生の「赤いバラ ナカムラマンガシリーズ」です。A5、カバー貼り付け、表紙絵ー谷ゆき子先生。


貸本漫画、カバー貼り付け。一か所、印。貸本としては比較的綺麗め（軽いテープ痕跡あり）。わずかですが、小欠のページあり、一部セリフ欠けていますが、軽いものばかりで大鈴には関係なく、問題なく楽しめます。


中村書店の後期漫画としてはかなり分厚い192P。オオトモヨシヤス先生の「涙のおどり」「千年前のマリちゃん」、まつだひろじ先生「さゆりちゃん二人」3作品収録と言っても、168Pまでオオトモ先生です。


「涙のおどり」は原爆病にかかった悲しい少女マリちゃんのお話でバレエダンサーとして健気に活躍、だが徐々に病魔にむしばまれてゆく。兄はミュージシャンでドラマー、親友のプロ野球選手・東京ベアーズの藤倉選手とふとしたことでマリが出会う。


だが、兄は傷害事件で警察に。その後はめられてすさんだ道へ。マリと藤倉はやがて惹かれ合う。が、病魔は待ってくれない。そうこうする仲、マリは危篤に。駆けつけようとする藤倉にナイフで切り付けてくる男が。はめられたマリの兄・池田だった。果たして。そして、道を踏み外してしまうのか。運命はこうも残酷なのか、それとも。95P。


「千年前のマリちゃん」は千年前の世界に入り込んでしまうマリちゃんとみっちゃんの話で、実は千年も前からマリちゃんが来るのを待っていた母親がいた。実は千年前マリが山うばに狙われ（若い子の命を自分が若返るために喰らうため）、マリは自殺。母親は永遠にさまよう呪いをかけられる。


千年待ってくれれば、マリが助けに行くと言って消えた。そこにマリチャンらが迷い込む。マリちゃんらは山うばをいったん出し抜いたが捕まってしまう。この危機に千年前の真理ちゃんが助け船を。山うばから逃れ、無事現代に戻れるのか、迫真の物語です。


まつだひろじ「さゆりちゃん二人」はさゆりお嬢を殺してしまったと勘違いして苦悩する、さゆりちゃんの兄、そのさゆりちゃんが主人公で、ひょんなことから親友だったさゆりお嬢様のご良心に娘として引き取られることに。ここにまたしても魔の手が。社長を殺してでも、と屋敷に乗り込んできた男たちと遭遇。


そこに思わぬ出来事が。果たして無事でいられるのか、これまた味わいあるお話です。


入手困難な1冊、なかなか珍しいです。良いものですのでお楽しみいただければ幸いです。


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